2009年10月19日月曜日

南三条界隈かわら版 第7号⑧

『南3条にあった店』
 「おい、ピーナッツ屋!もらうぞ」
 閉店後、隣のラーメン屋《T公》から、高下駄鳴らしオヤジが来る。勝手にビールを注いで、勢いよくカウンターに500円玉。
「どうだ、焼肉屋は儲かってるか?」
 何故か頑固オヤジ好き。
 そのT公の伝説。
《勝手に写真を撮った客のカメラからフィルムを抜き取り、新品のフィルムを渡した》
《ミソ!と、横柄な注文をした兄ちゃんの目の前に、本当の味噌の袋を置いた》
《芸能人からの電話に、並べ!と怒鳴った》
 でも、葬儀の席で聞いた話しが一番好きだ。
《若いカップルが、どうしてもT公さんに会ってお礼をしたいと訪ねて来た。事情を聞くと、食事中に盗難に気づきラーメン代どころか一文無し。目の前には怖そうな店主。二人で途方に暮れていると事情を聞かれ「心配すんな!」と、二階に泊めてくれ、お金まで貸してくれた》
 だから、頑固オヤジはいいんだよな。

ソルトピーナッツ店主 金野銀之介